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監督コメント監督コメント

監督コメント

この映画は、目の前で起こった、ある印象的なシーンから生まれました。

ある日、4人の映画製作者たちと共に、郊外の村で行われた上映会に参加したときのことです。
彼らが屋外の壁にキャンバス地のスクリーンを設置し、映画の上映が始まりました。
すると、砂混じりの風が吹いてきて、スクリーンが巻き上がってしまったのです。
マナルとイブラヒムは席を立ち、自分たちが座っていた椅子を持って、スクリーンが巻き上がらないよう左右に置きました。
スクリーンは、風が吹くたびにまるで小舟のようにぶるぶると揺れ、時おり映像がスクリーンの外にはみだしていました。
しかし、帰る人はなく、皆夢中になって映画を観ていました。

まるで嵐の中の船乗りのように、苦笑しながらスクリーンを押さえ続ける彼らの姿に目を奪われました。
スーダンの首都ハルツームから小さな村への小旅行で、彼らの反骨精神と覚悟を目の当たりにしたことは、とても重要な体験でした。
そしてこの時、私はこの映画を撮らなければいけないと思ったのです。

映画作りのきっかけとなったこの光景は、彼らが撮りたかった映画に登場するようなシーンではないはずです。
彼らの前に吹き荒れた嵐は、人生に大きな苦痛をもたらした一方で、映画を取り戻したいという強い思いをも駆り立てたのです。

45年もの間、彼らは映画製作を希求し、観客の前で上映したいと願い、そして仲間たちと永遠に一緒にありたいと望んできました。
映画『ようこそ、革命シネマへ』は、困難な時代を生きるなかでも、ユーモアのセンスを忘れなかった4人の作り手たちの物語です。